ライフスタイル/南房総・体験レポート

「ミレーニア勝浦」を拠点に、楽しむ!味わう!くつろぐ!体験レポートをお届けします。
海辺の暮らしならではのライフスタイルに触れてみてください。

■レポート一覧

  • 1│船釣り万歳!
  • 2│シーカヤック体験
  • 3│美味!天日干し
  • 4│路線バスの旅
  • 5│痛快!防波堤釣り
  • 6│体感!定置網漁
  • 7│探訪!老舗酒蔵
  • 8│房総産・天然伊勢海老
  • 9│南房総で、春を先取り!
  • 10│旧国道、絶景めぐり
  • 11│SUPで海上散歩
  • 12│大多喜、心の旅。
  • 13│さすらい海岸通り
  • 14│生きた水、 久留里。
  • 15│奥房総の山里へ
  • 16│カフェin 勝浦
  • 17│『八犬伝』の舞台へ
  • 18│人工衛星と対話する勝浦
 
Vol.12
 

昭和の急行列車で行く大多喜、心の旅。

今も心に刻まれている昭和の風景。懐かしいあの日、あの時の情景を、もう一度見てみたい。
そんな郷愁にかられることがある。
昭和に生まれ育った管理所長・田中茂文が、心の風景を求めて、
いすみ鉄道を走る旧国鉄車両に乗って、大多喜十万石の城下町へ向かった。

 

急行列車でちょっと昭和へ行ってきます

 クリーム色に赤い帯。それは紛れもない国鉄時代の急行列車。低くこもったディーゼルエンジンの排気音を響かせながら、ゆっくりとプラットホームに入って来た急行列車を見て、「どこからともなく『いい日旅立ち』のフレーズが頭の中に流れてきた」と田中が懐かしそうに顔をほころばせる。
 急行列車の車両形式はキハ28。国鉄が『ディスカバー・ジャパン』・『一枚の切符から』・『いい日旅立ち』などのキャンペーンを矢継ぎ早に打ち出していた1970年代に活躍していた気動車だ。『いすみ鉄道』では、昭和の思い出がたっぷり詰まった列車を、観光の目玉として土・日・祝日に走らせている。
 蒸気機関車を観光列車として導入している鉄道会社はいくつかあるが、昭和の気動車で集客を図る路線は珍しいのでは?1970年代に青春時代を過ごした世代には、蒸気機関車よりもむしろ気動車の方が、心に響くような気がする。

 日曜の朝、『いすみ鉄道』の始発駅となる大原駅は、昭和の気動車目当ての乗車客で賑わっていた。キハにノスタルジーを感じる中高年の鉄道マニアばかりかと思ったら、女性や若者も結構いたので驚いた。
 日曜日の急行列車は、クリーム色に赤い帯のキハ28(昭和39年製造)と朱色のキハ52(昭和40年製造)を連結した『そと房』号として運行され、キハ28は指定席車両だ。我々は自由席のキハ52に乗車した。
 発車時刻となりディーゼルエンジンが唸りをあげる。ぐぉぉおおおぉぉ〜と床から伝わってくる重く渋いエンジンの鼓動感。なんて旅情をそそる音なんだ。急行列車は大原駅を後にして、市街地を抜け房総内陸のほのぼのとした里山風景のなかを、カタンッコトンッと進んで行く。

 車内は外観と同じく昭和の面影そのままで、紺色の対面型シートに座り外を眺めていると、風景まで昭和っぽく見えてくる。天井には扇風機がぶら下がり、窓際に栓抜きまで付いている。
 現在首都圏を走っているJRの電車の窓は開かないタイプが多いので、キハ52の開閉式窓はとても新鮮。風を感じながら列車に乗るのは何年ぶりだろう。青い田んぼの香りが風に乗って車内に入ってくる。
 欄干のない橋、樹のトンネル、どこまでも広がる水田地帯…。
 「昔の列車の旅って、こんな感じだったよなぁ」と昭和の旅情にしみじみと浸る田中。キハと沿線風景が織りなす時間旅行は、どこぞのアトラクションより、昭和に育ったオジサンの心を鷲づかみにするようだ。

時代を超えて今を生きるリアルな城下町

 大原駅を出て約40分。昭和の急行列車『そと房』号は、房総半島有数の城下町・大多喜駅に到着した。大多喜駅はホームも駅舎も昭和のムード満点で、見事なまでに急行列車が溶け込んでいる。
 時間旅行の余韻に浸りつつ駅を出ると、上総の小江戸と称される昔ながらの町並みが出迎えてくれた。大多喜町は、天正18年(1950年)に徳川四天王の一人・本多忠勝公が大多喜城に入り、城下町を整備したのがはじまりとされ、江戸時代と変わらぬ佇まいを見せる建物が点在している。
 大手門の材料を使用したと伝えられる『伊勢幸(酒店)』、江戸時代から旅籠として営業している『大屋旅館』、国指定重要文化財の『渡辺家住宅』など、その建物の多くは今も現役で、暮らしの営みが活き活きと伝わってくる。観光のために保存されている宿場町や江戸村では味わえないリアル≠ェ心を打つ。

 本多忠勝公の家紋に使われている立葵に包まれた店舗があったので、中を覗いてみると甲冑がズラリ。これから戦場に駆けつけんばかりの勇ましさで、睨みをきかせている。ここは、大多喜城手づくり甲冑会のメンバー・君塚良信さんが開設した『手づくり甲冑工房・博美洞』。武者行列などのイベントで使われる甲冑を手掛けており、君塚さんから製作途中の兜を手渡され、その軽さに驚いた。なんとその材料はボール紙。鎧も段ボールを主材料に布や紐を用いて製作したものだ。
 君塚さんは、手作り甲冑教室を開いており、「半年かけて完成した時の達成感、やればやるほど感じる甲冑の奥深さにハマる人が多い」と語る。「甲冑づくりを通じてカップルが生まれたらいいなぁと思って甲冑婚≠企画したこともありました」と笑う。甲冑を作りながら育むロマンスとは、なんとも勇ましいカップルになりそうだ。本多忠勝公の長女・小松姫は、才色兼備で武勇も優れていたとされている。強い奥方と結ばれるのは、大多喜の伝統?なのかも。

 『博美洞』を出て道向かいを見ると、次から次へとお客が入っていく店がある。店の名前は『とんかつ亭・有家』。扉の向こうから芳ばしい香りが漂ってきて、たまらなく食欲をそそられる。ちょうど昼時なので店内に入り献立を見ると、わらじとんかつ、カリフォルニアとんかつ、博多とんかつ、津軽とんかつなど、目を惹くメニューのオンパレード。どれも食べてみたいが、今回は一番人気だというわらじとんかつ≠ノした。
 160gの豚ロースを叩いて伸ばしたトンカツは、左右20p以上もある超絶特大!まさしくわらじ≠セ。サクサクの衣に包まれた肉は、叩きに叩かれただけあって、とてもやわらかく肉の旨味が凝縮され、なかなかの美味。見た目のサプライズ、深い味わい、食べ応え…、満足度も特大だ。

明るく豪快な大多喜藩十万石のDNA

 腹ごしらえも充分、再び城下町の散策をスタート。昔ながらの低層住宅が広がる大多喜町で、ひと際目を引く赤レンガの煙突を目指して歩いていくと、そこは天明年間(1781〜88年)創業の酒蔵『豊乃鶴酒造』。赤レンガの煙突をはじめ、母屋、酒蔵、元精米所が国の有形文化財に登録されている。歴史的価値の高い建物はもちろん現役で、手間暇惜しまぬ昔ながらの醸造法を守り、日本酒本来の味わいを大切にした清酒を醸している。
 豊乃鶴酒造の隣には『御菓子司 津知家』があり、店先に人だかりができていて、ショーケースを見ると皮から餡がはみ出るほどたっぷり入った最中が並んでいる。北海道産の小豆を使用した上質の粒餡と国産のもち米で焼き上げた最中が織りなす味は、とても上品。この最中を目当てに大多喜へ通う方も多いという。

 それにしても大多喜は、先ほどのわらじとんかつ≠ニいい、有形文化財の建物を普段使いする酒蔵といい、段ボールの甲冑といい、大胆で豪快な見所がいっぱいだ。戦国時代最強の武将と讃えられた本多忠勝公にゆかりのある土地柄のせいなのか、町を散歩しているだけで、豪放磊落(ごうほうらいらく)な気分になってきた。
 「大多喜という地名も、逆から読むと、喜≠ムが多≠ュて大≠ォいってなるし、ホントに楽しい町だね。車だと国道297号線でサッと通り抜けてしまうので、こんなに元気で楽しい城下町が身近にあったとは気付かなかった」という田中。いすみ鉄道の昭和の急行列車に続き、大多喜の城下町も、身近な新発見≠ェてんこ盛りだ。
 『ミレーニア勝浦』周辺には、心を充たす旅ルートが、まだまだたくさん眠っているのかもしれない。

取材協力

とんかつ亭有家 問い合せ先/℡.0470-82-2007
営業時間/11時〜18時(月曜定休)、千葉県夷隅郡大多喜町久保135

御菓子司 津知家 問い合せ先/℡.0470-82-2255
営業時間/8時30分〜18時(水曜定休)、千葉県夷隅郡大多喜町新丁83

豊乃鶴酒造 問い合せ先/℡.0470-82-2026
営業時間/8時〜17時(日曜定休)、千葉県夷隅郡大多喜町新丁88

ミレーニア勝浦販売センター TEL:0120-310-391 営業時間:9時〜17時(水曜定休)〒299-5246 千葉県勝浦市興津久保山台6-1 Tel:0470-76-4331 Fax:0470-76-4361 資料請求はこちら 来場予約はこちら